記憶というフィルム

この花に出会う前、もっと美しい光景に出会っていたのでした。 スポットライトのような夕陽が射し込む通りで、ベビーカーの赤ちゃんの前で、シャボン玉を飛ばしていたお母さん。 光の玉がふわふわと舞い上がっていく光景を見たとき、立ち止まってしまいました。 思わず、お母さんに近づいて、「写真を撮らせてください」と。   笑顔で断られてしまいましたが、すでに心の中ではシャッターを切っていました。 記憶の中に焼き付けられた光景。 人はいつでもカメラとフィルムを持っているものだと思います。