月齢2.62
細すぎる三日月を見ると、《折れそうな》という修飾語が思い浮かびます。
たしか渡辺美里さんのどこかの歌詞にあったのです。
《折れそうな三日月光る》と。
この月を見ただけで思いが駆ける。
歌詞や(もちろん文章だって)、聞いたり読んだりした人の記憶に刷り込まれるようにして残ることがあります。
それは文の優劣とはおよそ関係がないように思える。
そのフレーズだけを見たらなんということはないのに、なぜか強い印象を受けるのです。
なぜなんだろう……
ほかにも渡辺美里さんの曲の歌詞で忘れられないフレーズ。
《晴れた日にはベランダから永遠が見えるよ》
歌詞を作った当初は《永遠》でなく《富士山》だったとか。
彼女がライブで語ったそんなことまで覚えています。なぜか。