野良猫たちに囲まれて
広島市元宇品(もとうじな)の猫たち。
元宇品は広島港に突き出すように伸びている小さな岬。岬といっても、昔は島だったものが陸続きになったものです。そこに野良猫がいくつかのグループをつくって住みついています。
海岸べりの道は満潮時には波をかぶることもありますが、近所の人たちの散歩やジョギングコースになっているようです。
その中には散歩のときにキャットフードを手にしてくる人たちがいるわけで、猫たちも人を警戒しつつ、袋をがさごそさせれば「メシだメシだ」と寄ってくる。
僕は野良猫には絶対にエサをあげない人です。(そう、「猫のごはん」とも言いませんね)
言い訳するなら、僕はヨソ者の部外者だし、野良猫に勝手にエサをあげるのは自然のルール違反だと思うから。
何を固いことを、と思われるかもしれませんが、自分の中の歯止めとして、そう考える。
でも、ね。
猫をこうやって撮らしてもらって、何もやらずに立ち去るというのも良心がとがめる。
きちんとモデル料を払うべきだ、とも思うのです。
そこでこの前の考えとの板挟みが起きます。
エサなんかやっちゃだめだ、いや、モデルになってもらったんだからごほうびを……。
ええい、今日はたくさん撮らせてもらったから特別だ。
もってけドロボー。というわけで、パンをあげました。
キャットフードを持ち歩く人ではないので。
ほら、パンだ。腹が減ってるだろう、食え。
と小さくちぎってあげましたが……食べませんね。
一匹だけがつがつ食べてましたが、あとの猫はちろっと舐めてほったらかし。
みんないいエサもらって舌が肥えてるんでしょうね。
もうあげません。