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お昼ごはんは焼きうどん。
作るのはミチコさんです。
パソコンに向かっていた僕がふと顔を上げると、湯気の立ち上るフライパンのそばには「だし醤油」と「だしの素」が。
焼きうどんにはソースでしょ、ソース!
菜箸を使っていたミチコさんの脇から、焼きそば用の粉末ソースと、中濃ソースをどばどばどば……
じゅう、とソースの香りが立ちこめます。
「何すんのよもうっ!」
焼きうどんにはソースが必要ですよ。
「せっかく和風の焼うどん作ってたのに、あーあ……」
焼うどんに和風も洋風もありません。焼うどんにはソース。
「久しぶりに自分好みの焼うどん作れると思ってたのに」
ミチコさんが一人でいるときにお願いします。
「だいたい何であんたに合わせなきゃいけないのよ!」
ミチコさんは怒りますが、入れてしまったソースを元に戻すことはできません。
かくして、だしの効いたソース焼きうどんのできあがり。
「いただきます……」
おいしいじゃないですか。
「…………」
やっぱり焼うどんにはソースですね。
「味が濃すぎ。血圧上がりそう。わたしソース嫌いなの」
ご機嫌斜めのミチコさんは食後にストーブの前でシュークリームをぱくついていました。