いつもと違う夜
いきなり一軒の家の前にころころと子猫が出て来たので、びっくりして自転車を止めました。
「くるくる(回転寿しのこと)、行く?」
というミチコさんについて行き、その帰り道でのことでした。
猫を見たら、それも子猫ときたら、猫に話しかけないわけにはいかないミチコさん、
なぜか親猫の姿はどこにも見えません。
ミチコさんは、まじで連れてかえろうかと思ったそうです。
立ち去りがたく話しかけていたら、いきなりその家のドアが開きました。
奥さんらしき人の「何か?」と誰何(すいか)する声。
「うちの猫ですけど」という言葉に、安心したような不安なような、曖昧な気持ちで自転車に乗って帰ります。
不意にやってきた、いつもと違う夜でした。