熟成の風景
出会った風景。
畑の黄色いヒガンバナに、古い理容店。
見た瞬間に、あ、と思う。
観光地巡りをするよりもこんな風景との出会いのほうが嬉しい。
何がいいのかと言われると……、説明しましょう。
人の手によるものと、自然(時間)の手によるもののコラボレーションだから。
ウィスキーを熟成させるように、時を経るととけとげしかった風景の肌触りがまろやかになってきます。
できたばかりのビルは刺激が強すぎますが、朽ちてゆくとともに落ち着く。
どのくらいの熟成具合がいいかは人それぞれだと思います。
もちろん、ウィスキーが好みでない人もいるように、風景にも好みがあるでしょう。
その好みはどうして生まれたのか……、と問われると、さて何と答えよう。
おそらくあなたが彼氏(彼女)や、夫(妻)を選んだ理由と同じです。
たぶん。
(やばい、ミチコさんに怒られるかも)